ハミングバードの音楽とギター備忘録

ソロギター(Fingerstyle Guitar)の練習帳と音楽日記。

ROCKIN’ QUALTET 第6章@Billboard Live Osaka(2023/07/28 2nd Stage ライブレポート)

ヴァイオリニストNAOTOさんが率いる弦楽カルテットが、名だたるロックバンドのヴォーカリストを迎えて開催するロッキンカルテット。以前から面白そうだなぁ~と気になっていて、前回の第5章の頃、ちょうど押尾さんのラジオ番組「押しても弾いても」に、NAOTOさんがリモートか何かでゲスト出演されて、どんなライブなのか語っていたこともずっと印象に残っていて、次あったら観に行きたい!とずっと思っていた。

 

2017年の初演から今回で6回目、6人目の歌い手さんは、andropの内澤崇仁さん。予習した方が良さそうやなぁ…と、4月に公演が発表になってからandropの曲を聴き始めた。内澤さんの声は柔らかくて優しく、まぁるい感じ。歌い方も好きな感じ。でも、楽曲はバラエティに富んでいて、かなりアグレッシブでぶ厚い音の曲があったり、如何にもロックバンドと云うより、シンセとかサックスが入っていたりと、濃い音がしている。やさしいアコースティックなバラードはもちろん、この曲がほんとに弦楽カルテットで行けるんかなぁ?と、あまり想像が追いつかない曲も多かった。なので、あまりイメージを作り過ぎず、ぽけ~っと会場に向かってみて、1曲目からカルテットの音の鮮明度にパチンッ!と目が覚めた。NAOTOさんのオリジナル曲は攻めた感じのロックナンバーだけど、バンドスタイルやギターとのデュオとまた違った、弦だけの音が重なる凛とした音が気持ち良くて爽快。真っすぐにこちらに飛んでくるようなハーモニー。パワフルなのに端正。ヴィオラやチェロの、リズム楽器のようであり、ベースのようである活用も、カルテットでは凄い表現力なんだなぁと思った。何かと耳が行ってしまうチェロの低音と、意識できなくてもなんかいつも鳴ってるヴィオラの音は、あるのとないのとで曲の厚みが違って来るような気がする。

 

2曲目からいよいよ内澤さん登場。軽やかにフロアに入って来る間も、演奏されるちょっと切ない「Hikari」のような雰囲気の前奏曲に導かれてステージへ…。ドキドキして期待が高まる感じ。さぁ、何から歌う?と思ったら、この日のスペシャルドリンクの名前にもなっていた「colorful」。かなり複雑な展開をする曲だけれど、サビや大サビの盛り上がりが、弦楽にピッタリでドラマチックな曲。2台のヴァイオリン、ヴィオラ、チェロそれぞれが、ハーモニー以外にもベースであり、パーカッションでありを担いつつ、バッキングが演奏されるのも、聴いていて楽しく、そして心地いい。続く「Tonbi」もドラマチックさがハンパなく、サビのコードの動きが四重奏で表現されると胸がキュンキュンする。はぁ~…とため息つきつつ、MCを挟んで次は明るく楽しい感じの曲が続いて、客席もみんなにこにこ・ゆらゆらと、和やかな雰囲気で進む。1st.ヴァイオリンのNAOTOさんは、パーカッシブにリズムを入れたり、ヴォーカルとユニゾンだったりハモったりで、色んな表情が味わえるプレイ。「Yeah!Yeah!Yeah!」ではコーラスも入れてて歌声まで武器にできるのはちょっと狡い。「Kitakaze san」でのカントリーフィドル風の弾き方も楽しい。「Rainman」のブリッジでの細かい音のフレーズがヴォーカルを引き立てるようであり、でも凄く弦楽的で耳に残る。

半分経過して7曲目からはピアノの呉羽さんも登場。四重奏+ピアノで、レンジが広がると云うより楽曲に高さが出るようで、よりいっそう歌が聞こえて来るような感じがする。

 

ロッキンではカバー曲のコーナーが必ずあるとのこと。今回は内澤さんが憧れていて、故郷から東京に出て来た時も、縁のライブハウスを選んで活動していたと云う、ACIDMANの曲。そのACIDMANの大木さんが、ロッキンの第1章のヴォーカリストでもあり、このライブの歴史と歩みを感じさせてもらえる選曲だった。内澤さんから語られるエピソードにも、そして真摯に向き合って歌っている姿からも、リスペクトが感じられて、「赤橙」を聴いてたらなんだか泣けて来てしまった。

そしてこの曲を聴けたことで、androp以外のロッキンの曲も、もっと聴きたいなぁと思った。その都度、そのバンドに合ったアレンジで、弦楽の雰囲気もきっと違うのだろうなぁ…と感じるので。

 

続く「Hikari」は壮大なバラード。ピアノが下支えする安定した音の上で、弦の音が色んな表情を付けて加えて、力強く優しいヴォーカルが歌詞の世界を伝えてくれる。そのまま更に切なく「Endroll」。ふと、自分が経験した色々な風景を思い出したりしながら、内澤さんの表現力にひっぱられ、NAOTOさんの旋律の美しさに胸が痛むほど。

歌と弦の作る異世界に連れて行かれて、呆然となった感じで本編終了。アンコールは観客も参加して、ハネた感じが楽しい「Supercar」。クラップしたり歌ったり盛り上がって、バンドじゃないけど弦とピアノでも、アガるノリがいいなぁ~と大満足でのエンディング。いやぁ…素敵やった。素晴らしかった。

 

プログラムが進むにつれ、内澤さんの歌の世界に入り込んでしまったけれど、歌がよく聴こえて来る…と云うのは、弦楽アンサンブルのアレンジが、とっても自然だからだと思う。途中から、ある意味ちょっと聴き流してしまうくらいに意識しなくなってしまい、ひたすら聴こえて来る音全てが心地いい・耳が気持ちいい状態になっていた。

内澤さんのヴォーカルは、優しく柔らかく伸びやかで、どこにも無理した感じがないのに、真っすぐこちらに飛んでくるような声で、聴き入ってしまう。でも、NAOTOさんに「テンポお化け」と言わしめるほどの、グルーヴ感と間の取り方…と云うか引っ張り方?それもまた気持ちの良い要因の一つかと…。

きっと、どんなヴォーカリストを迎えても、最高に美しく咲くようにアレンジできるのだと思うけれど、あれだけの演奏に負けないで、ちゃんと歌を届けられるヴォーカリストも凄い。そして、最高のプレーヤー達に取り囲まれるように舞台の中央で、ただマイクだけに向かうプレッシャーを楽しめる人も、選ばれると思う。内澤さんは間違いなく楽しんでた!

 

弦楽アンサンブルを聴かせて頂いて、単純にバンドの楽器を各パートに置き換えていると云うより、ハーモニーでバッキングを作り上げているようで、室内楽とは全く違う、ストリングスを使った稀有な音楽を聴いているようだった。バンドの音を、ここまで違う楽器で表現できるのってほんとに楽しいし、聴いていて面白い。

ロッキンカルテットを聴いていると、歌のないインストゥルメンタル音楽以上に、歌があっても器楽の力を感じることができて、こんなアレンジができるNAOTOさん&QUARTETの皆さんの表現力すげー!と思った。

 

初めてのロッキンカルテットだっただけに、目が行ってないとこ、耳が及ばなかったとこが多いように感じ、できたら日にちを空けて、2公演くらい観たいな~と思った。次回、第7弾は今回の反省点を踏まえつつ、もっと楽しみたいなぁ。

 

今回の第6章のレポートやセットリストなど、公式HPに掲載されていいます。

www.rockinquartet.net

 

9月23日に「中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2023」と云うフェスに、歴代のロッキンのヴォーカリストが5人集結して登場とな!なんと!素晴らしい!
こんなの、やっぱりお互いがリスペクトし合ってないと、皆で集まろうってならへんよな~。きっとヴォーカリストにとってもロッキンのステージは、名誉なことであり、歌いたい場所なのだろうな…と。そう思わせる音楽を作り続けるNAOTOさんとカルテットの皆さんも最高にカッコイイ☆

solarbudokan.com

さらに11月12日には埼玉の「麦ノ秋音楽祭2003 #Seeds」にもロッキンカルテット登場!クラフトビール片手に青空の下で聴けるなんて…いいなぁ。

muginotokiongakusai.j