▼以下、前置き長いです…
バイオリニストNAOTOさんが率いる弦楽四重奏・NAOTO QUARTET+鍵盤と、人気のあるロックバンドのヴォーカリストだけを呼んできて、そのバンドのオリジナル曲をプレイする『ROCKIN' QUARTET(ロッキン・カルテット)』。随分前からビルボードの広告などで面白そうだなぁ…と眺めていたけど、その頃はNAOTOさんのことは知ってても今みたいに大ファンではなかったし、ロックヴォーカリストも名前しか知らない人ばかりで、実際ライブに行くことはなかった。
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でもNAOTOさんが押尾さんのラジオに出演されてた時だと思うけど、ロッキン・カルテットのことを詳しくお話しされてて、とても原曲を大切に、リスペクトを持ってアレンジしていることが伝わって来て俄然興味が湧き、次あったら絶対行こう!と思って初めて観たのが昨年の第6章。andropの内澤さんがヴォーカリストで、彼等の曲は、初期はオルタナっぽいとっつきにくさがあるけれど、最近の曲はとてもポップで聴きやすいし、何より内澤さんの声が柔らかくて優しい。入門編としてはとても入りやすい回だったと思うけれど、何分あの頃はまだ、ロッキンカルテットの楽しみ方を分かってなかったな~…と思う。
いや、今でも分かってるかどうか、正解かどうか知らないけれど、少なくとも去年よりは心底この企画が面白いと感じているし、何を聴いてもワクワクしてしまうのは間違いない。それはこの1年で、スペースシャワーで過去の歴代ヴォーカリストの回をダイジェストで観たり、フェスに出演した時の配信を聴いたりできたから。どのバンドも流石に人気があるだけあって、それぞれ音楽性にしっかり個性があって、みんな上手い。そして、ヴォーカリストも独自の世界観を一人一人が持っている。だから、ちょっとバライエティー的なトークを見たりしていても、めっちゃキャラ立ちしていて楽しい(笑)。そんなのも含めて、ロッキンカルテットの魅力だと思う。
埼玉で春・秋に行われてる「麦ノ秋音楽祭」に、歴代ヴォーカリスト集めての出演があったりの中、次はいつかな?と思いつつ、まだ先だろうと思っていたら、今年も開催されるとのお知らせが5月1日に!! 嬉しかったなぁ。でも予習しなきゃ!と云うプレッシャーが(笑)。NAOTOさんの弦楽アレンジは、とてもまとまりがあって、たとえヴォーカルがいなくても聴けるんじゃないか?と思うほど綺麗なので、予習せず“そう云う音楽”として楽しむことは充分できると思う。でも、原曲を知ってる方が、より楽しめると私は感じてます。アレがこうなるんだ!的な楽しさ。中津川ソーラーの配信で、ナッシングスの「Out of Control」を聴いてカッコ良くて、その後に原曲を聴いた時の衝撃は忘れられず。マジNAOTOさん天才!って思ったし、ナッシングスの曲の良さもよく分かった。
ロッキンカルテットの音楽と原曲のバンドサウンドは、やっぱり全く別物。ロックとオーケストラの親和性の高さは、海外なんかだと、しょっちゅうフルオーケストラをバックにライブがあったりするから、当然のように思ってしまうけど、ロッキンカルテットは違う。二つの物を混ぜるのではなくて、バンドの音を弦楽四重奏に置き換える、と云う超ストイックな音楽。こんな大変なこと、普通の編曲者は絶対避けると思うし、アレンジも演奏も面倒だしリスキーだと思う。でも、敢えてそこに挑むのがNAOTOさんらしいと云うか、めちゃくちゃ男前なカッコ良さ!と、ほんと惚れ惚れする。まさにこの攻めた姿勢こそ、ロックスピリットそのものだと思う。ファン歴浅いけど、NAOTOさんって生き方がロックだよなぁ~…って、つくづくカッコイイ。ご本人は、石橋叩いて渡るタイプだからと謙遜されるかもだけど、普通の質が高いように感じます。
バンドの音楽を弦楽に置き換えるとどうなるか…と云うと、骨格が見えるようなシンプルさと、油絵が水彩画に変わるような透明な美しさを味わうことができて、バンドの“音”を楽しむよりも、より“楽曲”そのものの特色を堪能できるように思う。だから、それぞれのバンドの持ってる音楽的カラーが、ロッキンカルテットで聴くと際立つように自分は思ってます。ヴォーカリストは変わらないのに、バックの音が変わる面白さが、この辺なのかな…と。
クラシック音楽の弦楽四重奏でもなく、もちろんバンドでもない。独特の音作りと演奏とスコア。これはもう “ロッキンカルテットという音楽ジャンル” なんじゃないかと想ったり。
昨年のandropの時は、どうやって予習したらいいか分からず、沢山あるアルバムを全体的に流して聴いてたので、全然身体に入って来なかった。今回は、人気のある曲から順番に聴いてみると、特長もよく分かるし耳に残った。ちょうど今月末に配信でベストアルバムがリリースされるとのこと、収録曲も参考になった♪
9mmはパッと聴くと、メタルやコアの部分のラウドさと速さが真っ先に印象として残ると思うけれど、それはリズム隊の激しさに外ならず、よく聴くととってもメロディアスで、特に歌メロやギターソロが歌謡曲的なほどわかりやすい。なんとなく昭和な香りや、暗い童謡・唱歌みたいな匂いもする。そして歌詞に物語性みたいなものがあって、1曲1曲がドラマのよう。言葉の選び方もシンプルだけど、変化をつけて繰り返されたり韻を踏んでたりも多いので、つい口づさんで歌いたくなる。1回聴いたら頭から離れなくなるタイプの曲も多い。 そして9mmの歌詞の、退廃的で破滅的な感じ、個人的に好みです。少女漫画か昼下がりのメロドラマのようでもあり、浄瑠璃のようでもあり、結構女性的な感覚なのでは?と思う。そんな歌詞を書く人なので、歌もとっても叙情的。9mmの轟音の上でギター弾きながら歌ってる菅原さんが、そう云う、歌うのには負荷とも思えるものから解放されて、美しい弦楽アレンジの上で歌唱できるのは、さぞや気持ち良かっただろうなぁ…と思う。実際、ほんとに楽しそうに、歌を通した表現を開放されていたように感じる。しかも、曲は普段パフォーマンスしなれた自分達9mmの曲だから、余計なとこに力を使わず、歌の表現に集中できると思う。ロッキンカルテットの醍醐味を一番味わえるのは、たぶんヴォーカリストの人達なんだろうな。
▼NAOTOさんと菅原さんの事前インタビュー
Billboard Liveの公演は、1回70分、毎日2回行われる。今まで、1日に2ステージ続けて観たことはなかったけど、ROCKIN' QUARTETは、各ヴォーカリスト1回しかチャンスがない。ダイジェスト的にフェスなどでまた聴ける機会はあっても、一つのバンドの曲をまとまって聴けるのは今回のみ。そう思うと、いてもたってもいられず、2公演チケット取りました。実は最初、初日の横浜公演に行こうと思ってたのだけど、諸事情あり残念なことになった。そして今、猛烈にファイナルの東京に行きたいけど!状況が許すワケなく、激しく涙です。嗚呼、ロッキンカルテット好きすぎる。
▲はい!ここまで前置き。
▽以下、セットリストの曲名を上げて色々書くので、もしこれから東京公演を観られる方があれば、読まない方がいいかもしれません。
客席が暗転してロッキンカルテットのテーマ曲が流れる中、まずはNAOTO QUARTETの四人だけが登場。それぞれ準備して、いつものように、オープニングはNAOTOさんのオリジナル曲。なんと今回!大好きな「TWIN DRAGON」でした。今年に入ってから、クラシカルコンサートやVIOLIN PARTY、のだめフェスと、色々な編成でこの曲を聴く機会があって嬉しい限りだけど、今回低音が効いててめっちゃロックでした!バンドじゃないのに超カッコイイ。しかもイントロのリフの後、チェロがグリッサンドで入ってきて、そのドゥーン!と云うピックスクラッチ並みのカッコ良さに痺れて、正しく悶絶しました。開始20秒で昇天です。NAOTOさんも仰ってたけど、きっとこの曲は9mmのファンにもウケたんじゃないかなぁと思うし、後の方のMCでも菅原さんが、この曲を9mmでカバーしたら面白いと思うって仰ってた!大拍手!やって欲しい!!
続いて、NAOTOさんのカウントからBPM速い曲だなって分かる、弦楽の音が激しい展開のリズムのフィルを表現して、流麗なギターメロを謳う中、にこやかに菅原さん登場。両手を広げて客席にご挨拶。なんと云う余裕。始まる前から楽しそう。1曲目「The Revolutionary」。Bメロが印象的で早速一緒に歌ってしまった。この曲も物語のワンシーンのような風景が浮かぶ歌詞だけど、菅原さんの押す一方じゃない緩急のついた歌い方が、ドラマチックな弦楽の音とマッチして、よりシアトリカルな雰囲気になっていた。これは今回のライブの全体に言えることかも。1曲ずつが映画みたい。しかも心揺さぶられて、若干疲れるタイプの映画(笑)。
2曲目「Black Matket Blues」はきっと9mmの代表曲? 初めて聴いた時から印象深い曲で、けっしてブルースではないけど、ラテンの匂いがしたり面白い。サルが汚れた手を叩いてるとこ、2回とも叩き損ねて、めっちゃ無念で心残り。12月に9mmのライブに行ったら絶対叩いてやる! この曲も速い曲だけど、弦楽アレンジとめっちゃ合ってた。ぶ厚い4つの音のハーモニーが気持ち良くて気持ち良くて、もう一回聴きたいって激しく思う名アレンジだった。
『ROCKIN' QUARTET』
— ROCKIN' QUARTET (@rockin_quartet) 2024年7月17日
横浜初日ダイジェストが到着✨
※3曲ネタバレあり
ご来場頂いた皆様、ありがとうございました❗️
「最高の選曲と弦アレンジ!」
と9mmファンからも熱いメッセージが届いてます✉️
残り2公演お見逃しなく👀
7月23日(火)@ビルボードライブ大阪
8月2日(金)@ビルボードライブ東京 pic.twitter.com/hRze4WvwQm
3曲目「Psychopolis」は、歌メロもギターメロも展開が激しくてエモいけれど、それが弦楽に置き換わることで美しく昇華されて、音の運びもちょっとプログレっぽい表現に変わって、めちゃくちゃ好みのアレンジでした。素敵☆ 今回、曲を選んで持って来たのは菅原さんとのことだけど、これはナイスチョイスと思います。 4曲目「バベルのこどもたち」もなんたる名曲、めっちゃNAOTO QUARTETが美しかった。感動! イントロからクラシックっぽい感じするもんねぇ(あれ?そんなの思うの私だけ?)。サビがドラマチックで、歌っちゃいたくなるやつ。菅原さんの伸びやかな声も気持ち良かったなぁ。コードの動き方も王道かもだけど気持ち良い。Aメロで、バックでずっとギターが16分音符のオルタネイト刻んでるのまでカルテットで表現されてて、お疲れ様でした。
この辺でMCだったかな? 菅原さんとNAOTOさんからご挨拶。せっかく9mmって名前なのに、ちょっと早く第7章で来てしまいました…って、笑いを誘っていました(笑)。
5曲目は少しテンポを落として、ループするリフが独特の世界に連れて行ってくれる「次の駅まで」。歌詞もめっちゃ聴き入ってしまう。こう云う曲の雰囲気も9mmの魅力の一つなんだなぁ、と。予習漏れてて、会場で初めて聴いたけれど、このダークメタルっぽい雰囲気めちゃくちゃ好みだし、カルテットで聴くと美しい余韻が残る名曲。
打って変わって6曲目、出ました!速いやつ!「新しい光」。冒頭の歌の後の、あの爆速のフレーズ…、流石のNAOTO QUARTETさま。完全再現で素晴らしい完成度の演奏でしたが、ごめんなさい、凄すぎて笑いが止まらず…。9mmのYouTube配信でドラムのかみじょうさんが、BPM下げないで弦楽器で演奏することを、愛を込めて “ばか” と仰ってましたが、この曲聴くと、ほんとそのFoolish振りが伺えます。尋常じゃない暴挙をサラッとやってしまうメンバーの皆さんが最高すぎる☆ 特にNAOTOさんと、柳原有弥さんのドラムフィル再現よ。細かすぎて指が見えへんのちゃうか?!と思うくらいでした。だいたい、ツーバスの曲を弦楽器で再現するとか、ほんと信じられない。嗚呼、ほんとカッコイイ。中盤、有弥さんがバイオリンソロっぽく弾いて部分もカッコ良かった。
お次はロッキンカルテットの名物コーナー、カバー曲の披露。いつもヴォーカリストが持ってくるのかな? 今回は菅原さんのリクエストで、仲良しなお仲間であり、前回ロッキンカルテット第6章のヴォーカリストであるandropの「RainMan」。とっても可愛い感じの曲で、9mmにはないカラーだから、菅原さんが内澤さんへのリスペクトを持って、丁寧に歌っているのが伝わって来て、めちゃくちゃ素敵でグッと来ました。そして、カバーになることで、いつもサラッと歌ってる内澤さんのことを、NAOTOさんが “テンポお化け” と呼んでる理由も分かる感じがした。ただのリズム感じゃない、揺らすグルーヴ感とか、声でアクセントを作る表現とかが、内澤さんと菅原さんで違うんだなぁ…と思った。こちら、ロッキンカルテットの公式Xで録って出しの動画が、ちょびっと公開されてました~。嬉しい~♪
『ROCKIN' QUARTET』大阪公演から
— ROCKIN' QUARTET (@rockin_quartet) 2024年7月24日
少しだけ映像も公開しちゃいます🎦
(※ネタバレあり注意)
今回は本人も絶賛だという
あのバンドのカバーが…❗️
残すはファイナル・東京公演のみ
▶︎8月2日(金)@ビルボードライブ東京
お見逃しなく👀 pic.twitter.com/DUBij3Il8R
8曲目は今回の公演の、Billboardオリジナルカクテルにもなっていた「夏が続くから」。9mmのアルバムはまだサラッとしか聴けていないけど、2019年に出ている、この曲が入ってる『DEEP BLUE』とか、今のとこ最新?の2022年の『TIGHTROPE』とか、明るい印象で聴きやすい曲が多いな…と思う。この曲もアコギの音が印象的な、爽やかでキャッチーな曲。ストリングスをバックに聴くと、より切ない感じになって良かったです。あ、オリジナルカクテルもクランベリーの香りがして美味しかった。
…で、激しく反省してるのは、ピアノの呉服さん。どの曲からINされたか覚えてない! 2回も聴いたのに! 私の海馬よ。たぶん、この曲からだったような気がします…。ピアノが入ると、打楽器が入ってるみたいな高音や中音で、縦に幅ができて面白いな~って思ったのに、どの曲からか忘れちゃいました。ごめんなさい。
9曲目も超胸キュンでした。予習できてない曲だったけど、一聴して好きになった。正しく落とされた感じ。「泡沫」。これも最新アルバムに入っていて、むちゃくちゃ分かりやすい昭和歌謡的メロディーで、歌っちゃう。そしてもちろん、弦楽のアレンジがドラマチックにハマって、このメロドラマ感…大好きです! 10曲目「ハートに火をつけて」。のっけからギターの印象的なフレーズが繰り返されるけど、細かいスカのリズムが楽しくて、歌は大きなノリなのに疾走感がすごい。テンポ速くて演奏はむっちゃ大変だと思うけど、大変ついでに10曲目も速いラテン調の「Scarlet Shoes」。原曲で聴くとバンドの演奏はわりとシンプルなのに、弦楽に置き換わると皆さんめっちゃ大変そうで、申し訳ないけれどちょっとニヤニヤしてしまった。でもめっちゃ気持ち良くて、もっと聴いてたいなぁと思った。
MCを挟んで、早くも本編最後の曲。Billboardの1ステージ70分ってほんと短い。「カモメ」も会場で初めて聴いた曲だったけど、つくづく、こんな美しい曲に出会えて幸せだと思った。激しいだけじゃない、9mmの持ってるこう云う叙情的だったり大きなスケールの曲も素晴らしい。弦楽アレンジがめちゃくちゃハマって切ない仕上がりになっていたけど、後から、元々ストリングスが入ったバージョンの曲があると教えてもらった。聴いてみて、なるほどロッキンカルテットの演奏に近いけれど、不思議と弦楽四重奏とピアノだけの方がレンジが広く聴こえたように思う。原曲に忠実に…と云うNAOTOさんのアレンジの方向性が、かえってそう感じられたのかも。秀逸な表現だったとおもいます。
楽しい感じで盛り上がって終わるのかと思っていたけど、しっとりと切ない余韻を残して、菅原さんの歌と弦の美しさを堪能して本編終了。消化しきれないくらいの濃密な音楽の情報量に放心しつつ待ってると、アンコールにも応えてくれた。
やっぱり速いやつ(笑)。これは文句なしにアガる曲!「Brand New Days」。きっとこう云う曲が9mmらしい曲なのかな、と思う。最後の最後のカルテットの皆さんは大変だったと思うけど、きちんと爆速で楽しさを伝えてくれてました。菅原さんも楽しそうだった。良かった、ほんとに。
以上、大まかな曲の流れの感想でございました。
もしここまで読んでくださって、関東地方にお住まいでしたら、まだ来る8月2日(金)にBillboard Live Tokyoで東京公演があります!! 9mmの曲を知ってる人ほど楽しめるとは思うけれど、バイオリン属の弦の音、ハーモニーがお好きな方も、絶対満足できる未体験の音楽だと思うので、聴いて頂きたいです!!!!!
【#ロッキンカルテット】いよいよ8/2にファイナルとなる東京公演開催🎉
— Billboard Live TOKYO【ビルボードライブ東京】 (@billboardlive_t) 2024年7月24日
9mm Parabellum Bulletの楽曲が弦アレンジで再現される、ここでしか体感することのできないパフォーマンスは必見です!
チケットはビルボードライブ公式HPから✔#billboardlivetokyo @rockin_quartet
▼公演詳細… https://t.co/IECmYJwxui
他、所感だけど、NAOTO QUARTETの皆さんは本当に今回演奏が大変だったと思います。ツーバスのBPM速い曲を四重奏だけで再現とか…ほんとスゴイです。NAOTOさんは勿論オーケストラのこともよく分かってらっしゃるけど、それをバンドの音を表現するために使うノウハウは、ロッキンカルテットで独自に模索していかないと、他に例は少ないと思う。オーケストラアレンジとは違う、バンドサウンドの置き換え。もの凄い精度で素晴らしいアレンジだったけれど、良い意味で想像以上に美しくて、チェロやビオラの低音が強調されていても尚、あまりにも美しくて、これはもう弦楽と云う音楽の宿命なんじゃなかと。エッジや粗削りさからは遠く、どんなに激しくても柔らかくて綺麗。だから心地いい。9mmの音楽の激しい部分が好きな人にとっては受け付けないかもしれないけど、あの独特の楽曲の雰囲気や世界観、菅原さんの伸びやかな声や細かい表現が好きな人にとっては、たまらなく美味しい時間だったんじゃないかなと思う。
カルテットの皆さんを眺めていて、2nd.バイオリンの柳原有弥さんは、いつも大変なパートをNAOTOさんに押し付けられている印象があるけれど(笑)、今回もガリガリと速いパートをこなしながら、めっちゃ楽しそうにされていて、難しいことをクリアできるのが嬉しいのかもしれないなぁと思った。それって凄い!流石プロだな…と思った。絶対にこなしてしまうんですね。Mじゃないとやってられないw でもリフパートだけでなく、NAOTOさんがタッピングしてる横での、ソロのメロディーパートも、今回すごく綺麗に弾かれるんだなぁ…と、何度もうっとりなりました♪
ヴィオラの梶谷裕子さんも余裕そうに見えたし、やっぱり楽しそうにされていました。横浜公演が終わった後に、Xをされているのを見付けて、パンクやロックを聴いていたことがあると云う、そのスピリットを感じる演奏でした。クラシックだけを演奏しているんじゃない人の、何気ない表現力って素晴らしいのだと思う。今回髪をくくってドレスアップされていたのも、紅一点でとても綺麗で、裕子さんがいてくださるとホッとします。
チェロの向井さんは、ロッキンカルテットでは欠かせないと云うか、一番ロックを表現しやすい楽器だから、そこが弱いと面白くない。でも、クラシック的な流麗な音よりもリズムやエッジを表現してくれる稀有なプレイで、いつもロッキンカルテットをロックにしてくれる方だとの信頼感がすごいです。ほんと、色んな意味で不動のポジションででーんと座っててくださる安定感が嬉しい。
そしてなんだかんだ言って、NAOTOさんが一番大変なを引き受けて演奏してるんだなぁと云うのもよく分かります。タッピングと弓でずっとリズム取り続けるのも大変だし、他のバイオリニストがやらないことを、自分で考えてこなしてしまう凄さ。他の4人や全体のことも見なければいけないし、負荷のかかる演奏をしながら、お疲れ様でした。いつも演奏中でもお客さんに手拍子促したり、ヴォーカリストと微笑みを交わしたりするのに、今回一切なかったので、それほど演奏に余裕がないんだな、と思った。 曲の要所要所でソロを弾かれるのも、嗚呼、やっぱりこの音を聴きたくてNAOTOさんのファンをやってるんだ、と聴き入ってしまった。素晴らしい発音。ほんともう色々、NAOTOさんのこと大好きです。
今回PAさんの音作りが、前回のandropの時よりも低音強めで、幅も広くて、重たい音なのに美して、やっぱりバンドの特長ごとに音も変えてらっしゃるのかな?と、Billboardで聴く、素晴らしい音響に拍手をおくりたくなった。気持ち良かった! 特にチェロの音が素晴らしくて、菅原さんもギターに使うために “向井ファズ” のエフェクターが欲しいと言ってたほど。
1st.と2nd.で違う場所で聴いていて、やっぱり下のフロアの正面後ろのソファー席が、一番良い音だなぁと思った。カジュアルの正面カウンターだと、ちょっとリバーブが深く感じられて…。ま、これも好みかもしれません。
9mmのライブは今度12月に初めて観に行くけれど、先に菅原さんを単独で拝見して、ロックバンドのフロントマンとしての華やかさと物怖じしなさ、ヴォーカルに集中している時の自由な表現力と、外向けのエネルギーが素晴らしい人だな、と思った。歌詞も独特だけれど、いろんなことを敏感に感じるセンサーを持って、歌うことで表現に変えられるのが、ある意味ロックヴォーカリストっぽくなくて、アコースティックなSSWのよう。そんな人がラウドなサウンドの真ん中にいるのも、9mmの面白さなのかなと思う。バンドのライブ楽しみ!
NAOTOさんのお蔭で、ROCKIN’ QUARTEと云う素晴らしい企画に出会えてことが嬉しくて、本当に感謝です。これまでのヴォーカリストのバンドも、それぞれ独自の素晴らしい音楽をされてるし、ライブ行ってみたいし、ロッキンカルテットとしてのステージも絶対観てみたい。フェス出演が近くであったらいいなぁ、と云うのと、2020年に中止になったホールでの開催もやって欲しいし、そしてやっぱり本気で、武道館公演をなんと実現できないでしょうか!いや、しましょう!!観たーい。
NAOTOさんのファン友さんで、日本のオルタナ系のロックバンドに精通してる方がいるけれど、自分の好きなバンドがロッキンカルテットで取り上げられるって、それはそれは幸せで嬉しいことだろうな…と思う。ここ20年くらい、縁がなくてほとんど国内バンドを聴いてこなかったので、自分にはそう云う体験ができないのが残念なところ。でも、まだこれからも続く第8章…第9章…と、本当に楽しみです! どんなバンドに出会えるのかなー。奈須さーん、期待していますー。