ハミングバードの音楽とギター備忘録

ソロギター(Fingerstyle Guitar)の練習帳と音楽日記。

猪居亜美 CLASSIC ✕ ROCK @ザ・フェニックスホール(2023/02/12 ライブレポート)

昨年の10月にチケットを購入して、大事に4ヶ月楽しみにしていたコンサート。亜美ちゃんのことは以前から、ご多分に漏れずYouTubeでの、クラギで弾くロックなんかを拝見していたけど、生で聴いたのは昨年8月の東京Hakujuホールが初めて。福田進一さんや荘村清志さん、朴葵姫や押尾さんと一緒に出られていた。その時の現代音楽の表現がとてもカッコ良くて、是非また観たいな~と思っていたので、ソロ・リサイタルとして拝見できてとても嬉しかったし、大満足でした!!

 

入り口で受け取ったパンフレットの表紙は白と黒。もうここから、今日のプログラムや雰囲気が伝わって来るようで、クラシックもロックのアレンジもなかなかダークで攻めた内容。亜美ちゃんはキラキラしていてとても綺麗だけれど、どこかミステリアスな影があって、選曲と良く合っているように感じた。

でも全編遠して、とても真剣にギター音楽と向き合っているのが伝わって来て、そこは冒険的と言うより保守的でストイックな空気に包まれている。だから、かなり難解に聴こえる現代音楽も、整理された表現が聴きやすく、乱れない感じが気持ち良かった。クラシックギターのことはよく分からないけど、でもきっとまだまだこれから、テクニックも表現も深みを益して、成長されるのだろうな…と、とても楽しみ。MCでコンテストの話題も出たけれど、結果よりも、自分の演奏に自分で納得できるかどうかが大事、と云う気持ちが、とてもカッコイイと思った。

 

さて、プログラムは下記画像の通り。

悪魔繋がりで、展開が速くて雰囲気がどんどん変わるテデスコ「悪魔の奇想曲」と、悪魔に魂を売ってテクニックを手に入れたと言われているパガニーニの「カプリス第24番」。パガニーニはもちろんヴァイオリン曲。それを福田進一さんがギターアレンジされていて、なんだかポップな雰囲気があって楽しかった。ヴァイオリンだと結構トリッキーだと思うのだけど、ギターで弾くと音数は多いけど長い音は聴こえて来ないので、ちょっと可愛らしい印象になるよう。

MCを挟んで次はスカルラッティの「ソナタK.208, L.238」。知らない曲だったけれど、個人的にバロックとか古楽が好きなので、めっちゃ気持ち良かった。元々はチェンバロのための曲なのかな?弦を弾くと云う意味ではギターも一緒だけど、ポロポロとしたナイロン弦の音でより落ち着いて、雨音みたいに気持ちの良い曲だった。前半の最後はブローウェル「オリシャたちの儀式」。不協和音バリバリの現代音楽で、弦の叩いたりもする曲。昨年アメリカで出場されたコンテストの曲だそうで、めっちゃ難解やけど、最後まで引き込まれてアッと云う間に1曲終わってしまう感じ。すごい!

 

休憩の後の後半は、ロック曲のアレンジ。メタリカの「Master of Puppets」は、自分としては凄く意外な表現に感じて、ちゃんと曲は聴こえて来るのだけど、クラシックギターで弾く面白さみたいなのが存分に伝わって来た。例えはメタルのツーバスとかブラストって、鉄弦のフォークギターで弾くと一人では限界があると思う。でもそれが、サスティンの短いナイロン弦で、クラシックギターのテクニックを用いると、表現できてしまうんやなぁ~…と感服。この時心の中で、さすが亜美ちゃん…とサムズアップです。 他の曲に関しては、鉄弦での所謂ソロギターと呼ばれる指弾きのジャンルの曲として弾いても、楽しいかもしれないな…と思うような、KISSやX JAPANの代表曲。余談やけど私としてはXなら「Rusty Nail」が聴きたい…。

若干のプログラム変更があり、KISSの後に演奏されたEvanescense「My Immotral」は、いったいどれだけ聴いただろう…と言うくらい大好きな曲なので、思い入れもあるけど、亜美ちゃんの表現はすごくすごく美しかった。クラシックギターにとても合う曲だなぁ…と思ったけど、今回この後半のロック編は、Xの2曲以外は全て亜美ちゃんがアレンジしているとのこと。その楽曲が好き!って言うのは、どんな時も力になるなぁ~と感じさせてもらった。秀逸です。バラードを聴かせて頂いたことで、これまたメタリカなら「One」が聴きたい…なんて妄想しなが帰って来た。

アンコールは2曲だったのだけど、1曲目…失念しました。思い出したらまた更新します。フェニックスホール独自の演出、オーラスではステージ後ろの壁が稼働して、ガラス窓から大阪の街と太陽の光が差し込んでの「Forever Love」。ウルウル来てしまいました…。

 

猪居亜美さんは、これからまた何度でも聴かせて頂きたいと思う若いアーティスト。今とっても輝いていて、能楽で言う時分の花をリアルタイムで目撃できている幸せと、それが眞の花になるこれからがとても楽しみ。世界的に活躍されるようになっても、また是非、地元大阪でコンサートを開催して欲しい。

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